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遺言書の書き方
2019.03.26
遺言書の書き方について
『終活』という言葉を最近よく聞くようになりました。
それに伴って遺言書(一般的には「ゆいごんしょ」と呼ぶことが多いですが、法律専門家は「いごんしょ」と呼びます。)を書こうと考える方が多くなってきています。
ただ、注意しないといけないのは、せっかく遺言書を書いておいたのに、法律で決めらた書き方を守っていなかったら、法律上は有効な遺言書として取り扱ってもらえない場合があります。
そこで今日は、遺言書の基本的な書き方と今年あった遺言書の書き方の法律改正についてお話します。
1.遺言書の種類
遺言書の書き方は、民法という法律に決められていて、大きく3つの方式があります。
①公正証書(「こうせいしょうしょ」と読みます。)
②自筆証書(「じひつしょうしょ」と読みます。)
③秘密証書(「ひみつしょうしょ」と読みます。)
このうち③の方法はあまり活用されていないので、今回は割愛します。
①公正証書遺言
これは、遺言をする人が公証役場に出向いて、公証人に遺言の内容を伝えて公証人が遺言書を作成し、立会人2名がそれを確認した上で、遺言者と立会人が署名・押印して作成するものです。
公証人が関与するので、法律的な間違いがないように作成してもらえます。また、作成した遺言書を公証役場で保管してもらえます。
ただし、作成するための費用を公証役場に支払う必要があります。
②自筆証書遺言
これは、遺言をする人自身が自筆で書いて、押印をして作成をするものです。
自分で書くのみで作成できるので手軽にでき、費用もかからず、内容を秘密にしておくことができます。
しかし、法律で決められた書き方を守っていないと有効な遺言書として取り扱われない場合もある上、書いた人が亡くなったあとに遺された家族が遺言書の存在に気付かない場合もあります。
手軽に書ける反面、問題もあったこの自筆証書遺言について、このたび制度が改められたので、その内容をご紹介します。
2.自筆証書遺言の方式の改正
さきほど述べたとおり、自筆証書遺言の方法では、遺言書の内容を全て自筆する必要があります。
これは、「だれに」、「どの財産を」、「どのように相続させる」のかを書かないといけないわけで、結構な量の文章を手書きしないといけないことになります。
しかし、パソコンを使って書いてしまったのでは、無効な遺言書になってしまいます。
例えば、財産の中に不動産があるのであればその不動産の「所在、地番、地目、地積」を登記簿に記載されているとおりに書かないといけません。
これでは、専門知識のない一般の方では正確に書くことは難しいですし、そもそも全文を手書きするのはご高齢の方にとってはかなりの負担になります。
そこでこのたび、次のような改正がなされました。
改正後は、遺言書の本文と財産の目録に分け、財産の目録については手書きしなくても良いこととなりました。
目録については例えば、パソコンで作成したものをプリントしたり、不動産の登記事項証明書(いわゆる、登記簿)や銀行通帳をコピーして財産の目録として使うことができます。
ただし、手書きによらずに作成した財産の目録には、遺言者が署名して、押印をすることが必要である点に注意が必要です。
この新しい方法によれば、手書きする手間や負担が大きく減る上、登記事項証明書や銀行通帳のコピーを利用することで書き間違いも防ぐことができます。
この方法は、平成31年1月13日から運用が開始されています。
これまで以上に手軽に作成することができるようになった自筆証書遺言の方法で遺言書を書くことから、『終活』をしてみるのはいかがですか?
書いたあとに事情や気が変わったとしても、遺言書はいつでも書き換えることができますので、ご安心ください。
わからないことや不安なことがあればいつでも当事務所にご相談ください。