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家族信託

2022.06.30

家族信託について

本日は幣事務所ホームページにも詳しく掲載させていただいております今注目の家族信託(民事信託)について成年後見制度等と一緒に基本的な話や、なぜ家族信託が注目されるのかなど、わかりやすくお話しさせていただこうと思います。

 

皆さんは家族信託と聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか。

信託という言葉が出てくるので投資????と思う方がいらっしゃるかもしれません。

 

ですが、信託会社を使って財産上の利益を得るための、あの投資信託とは無関係です。

家族信託とは家族などに財産を信じて託すということです。文字通りですね。

 

もう少しいうと私の財産をあなた(家族など)に託します。

その財産であの人(自分でも大丈夫)を守ってくださいね、というような感じです。

 

この家族信託の制度を使うと人生100年時代と言われる中、今現在問題となっている認知症対策等にもなります。

また、成年後見制度や遺言ではできなかったこともできるようになります。

アイディアや工夫次第でいろいろな場面で応用ができる制度なのです。

 

ところで認知症になってしまうと何が問題なのでしょうか。

あまりその辺をご存じでない方もいらっしゃると思いますので成年後見制度等も含めて考えてみましょう。

 

例えば小学校1年生になった小さな子供がお小遣いを貯金したいということで銀行口座を作りたいとなったらどうしますか??

親が銀行に行って子供の代わりに口座を作ってあげますよね。

普通だと思います。

 

小さい子供の場合は保護者である親が代わりにやってよいという法律があるからできます。

親権の中に含まれている法定代理権ですね。

では逆に認知症になって判断能力がなくなってしまった親が銀行口座を解約したい場合や何か契約を行う場合、成年である子供が親の代わりに手続きを行うことはできるでしょうか??

 

答えはできません。

なぜでしょう??

 

認知症になって判断能力がなくなってしまった場合、親の代わりに子供が代わって代理して手続きを行ってよいという法律がないからです。

子供が銀行に行って親の通帳と届印を使ってお金をおろそうとしてもできません。

子供が親の代わりに親の生活費のために親の不動産を売ったり貸したりすることもできません。

親が認知症になってしまうと親の生活費のためでも子供は親の代わりに手続きを代理することはできないのです。

 

 

親の財産の凍結状態です!!!

 

 

法律(民法)は明治時代にできたので人間が100歳まで生きる、歳をとって認知症になるなんて考えてもいなかったのかもしれないですね。

では、認知症になってしまった場合、実際はどうすればよいのでしょうか?

このような場合は家庭裁判所で認知症の方の保護者になる成年後見人を選任してもらい、選ばれた成年後見人が親の代わりに銀行等での手続を行うようになります。

それではどのような人でも成年後見人になれるのでしょうか?

 

実はそうでもないのです。

 

家族が成年後見人に選ばれるにこしたことはないのですが近くに家族が住んでいないとか、

家族に多額の借金がある、認知症になった方の財産が多い(例えば現金500万円以上)等、家族に任せられない理由があると、専門職である弁護士、司法書士等が裁判所から成年後見人に選ばれることが多くなります。

現在は専門職が選任される割合は7割を超えるようです。

そして、専門職が成年後見人に選ばれると毎月3万円くらいの費用が発生することになり、この費用は認知症の方がお亡くなりになるまで一生支払い続けるお金になります。

70歳の時に認知症を発症し85歳でお亡くなりになられた場合15年間ですので540万円もの出費になります!!!

 

たとえお金の問題ではないとしても今まで知り合いでもなかった弁護士等が親の成年後見人になり、親の銀行通帳等を全部持っていき、生活費や家族の内部的なことにいろいろ口出ししてくるのは嫌ですよね…。

 

また、家族が成年後見人に選ばれたとしても、成年後見制度は本人(認知症の方)を保護する制度ですので、成年後見人は本人のためにお金を使うことは許されますが、本人の家族のためにお金を使うことは許されなくなります。(財産管理の計算書などを作成提出しなければならないので使うとバレてしまう。)

親が認知症になる前までは家族で集まる年間行事、家族旅行等全部親が費用を払ってくれていたかもしれませんが成年後見人が選ばれてからはそれはできなくなります。

とても堅苦しくなってしまいます…。

 

じゃあ任意後見制度を使えば大丈夫じゃないの??

と思った方もいらっしゃると思います。

 

任意後見制度とは認知症になる前にあらかじめ自分が決めた人を後見人に指定する制度です。

それなら一見問題はなさそうに見えますが任意後見制度はある程度本人の判断能力が低下して裁判所に申立てを行うとスタートしますがスタートすると任意後見監督人が必ず選任されます。

任意後見監督人とは文字通り任意後見人を監督チェックする人です。

家庭裁判所が選任しますがこちらは専門職が選任されることがほとんどです。

そして任意後見人と任意後見監督人の意見が合わないことは多々あります。

例えば「自分が判断能力が低下し施設に入って自宅が空き家になったら自宅を売却してそのお金を施設の費用に回してほしい」と考え任意後見人として自分の家族に頼んでいた場合はどうでしょう。

 

任意後見監督人は専門職がほとんどで、自宅の売却には難色を示すと思います。

 

なぜなら、類似の成年後見制度では成年後見人が自宅を売却するには家庭裁判所の許可が必要になり、自宅をどうしても売却しなければならない理由が必要になります。

このどうしても売らなければならない理由はかなりハードルが高く、任意後見監督人も同じような判断をすることが多いためです。。

 

このように任意後見制度は直接的には自分が決めた人に後見人になってもらえる点で安心感がありますが間接的に任意後見監督人のチェックを受けますので任意後見監督人と反りが合わない場合、任意後見監督人の考え方次第で物事が進み、状況が異なってくる使い勝手の悪いところがあります。

そしてやはりこちらも任意後見監督人に専門職が選任されると成年後見人と同じように費用が毎月3万円くらい発生します。

 

元気なうちは自分で自宅を売却すればよいですし、亡くなった後は遺言を残しておけば自分の意思を実現できます。

しかし認知症などで判断能力がなくなってしまうと途端に自分の意思を実現することが難しくなってしまいます…。

 

こんな時に登場してくるのが家族信託です!!

 

ここではわかりやすくするためにザックリと細かいところは省略してお話しします。

それでは先ほどの事例を登場人物をお母さんと娘さんとしてまた考えてみましょう。

 

「自分が判断能力が低下し施設に入って自宅が空き家になったら自宅を売却してそのお金を施設の費用に回してほしい」でした。

 

これを家族信託の「私の財産をあなた(家族など)に託します。

その財産であの人(自分でも大丈夫)を守ってくださいね。」にあてはめてみましょう。

 

お母さんの財産を娘に託します。

その財産でお母さんを守ってくださいねというような感じになります。

 

具体的には認知症などで判断能力が低下する前にお母さんが家族信託契約として自宅を娘に信託します。

娘は信託された自宅を管理します。

管理内容は「お母さんが判断能力が低下し施設に入って自宅が空き家になったら自宅を売却してそのお金を施設の費用に回してほしい」ということになります。

このような家族信託契約を認知症になる前にお母さんと娘さんで締結しておきます。

契約を締結すると形式的には娘さんに自宅の名義は移りますが実際の家族信託契約では細かいところも信託契約の内容として決めておくのでお母さんは引き続き自宅に住むことはもちろんできますし、売却したときの売買代金は全部お母さんのものになりますのでご安心ください。

 

売買代金は全部お母さんのものなので施設への支払いに余剰が生じた場合や他の使い道のことも家族信託契約の内容で決めておけばよいでしょう。

売買代金も子供に管理をしてもらうという内容にしておき、お母さんの生活費に使ったり、また家族行事等でも使えるように決めておくこともできます。

このようにすでに元気なうちに契約をしているので自宅の売却に家庭裁判所の許可もいらずに娘さんだけで手続きができ、また専門職などに家族内の事でとやかく言われることもなくなります。

そしてお母さんが亡くなった後、管理していたお金は家族信託の内容で、管理してくれていた娘に3分の2、息子には3分の1ずつ渡すなどと家族信託の中で決めておくこともできます。

 

あっっ!!と思った人。するどい!!

そうです!!これは遺言のようなものです。

 

家族信託で契約内容として定めておけば遺言と同じことも結果的にできてしまうのです!!

 

アイディアや工夫で家族信託は様々なことができます。

 

では、「私の財産をあなた(家族など)に託します。

その財産であの人(自分でも大丈夫)を守ってくださいね。」

の「あの人」に孫などを選ぶとどうなるでしょう?。

 

こんな事例が良いのではないでしょうか。

孫が大学に行ったら入学費用などを出してあげたい。

結婚したら結婚式など結婚費用をだしてあげたい。

そう思ってるけど認知症になってしまったらできなくなってしまう…。

 

そうです。

この場合、成年後見制度だと本人のためではなくお孫さんのためなので入学金等は出してもらうことは難しくなります。

 

そんな場合でも家族信託なら大丈夫です!!

認知症になる前に家族信託契約で入学金などの費用を子供に信託し管理してもらい、

孫が見事大学に合格したときやご結婚されたときは子供から孫へ管理してもらっていたお金を出してもらえるうようにしておきましょう。

 

いかがでしたか?

家族信託ってなんだ!?!?って思っていた方もザックリ何となくわかってもらえたのではないでしょうか。

 

家族信託はアイディアや工夫次第でいろいろな場面で応用ができる制度なのです。

生前対策や認知症対策等様々なところで適用する場面があります。

 

お困りの事、お悩み事、こんなようなことができたらいいんだけど…。など

なにかございましたら幣事務所に是非ご相談ください。

 

幣事務所のホームページには家族信託の事例を詳しく掲載しておりますのでそちらもご覧いただければと思います。

⇒こちらをご覧ください

 

民事信託士を取得している司法書士も在籍しております。

初回相談は無料ですので是非活用してみてください。