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パートナーシップ制度と合意契約書

2020.08.21

パートナーシップ制度と合意契約書について

今回のブログでは前回LGBTセミナー記事(こちら)の中にでてきた「合意契約書」と、その話をする前に「パートナーシップ制度」について、より深く掘り下げてお話ししようと思います。

 

 

パートナーシップ制度と合意契約書

 

 

セクシュアル・マイノリティを取り巻く問題は古くから存在してました。

2015年日本でも渋谷区・世田谷区から導入された自治体パートナーシップ制度は、今では全国で50近くの規模になり、近年環境がより大きく変化してきてます。

 

パートナーシップ制度とは、自治体が同性カップルの関係を婚姻に相当するものとして、公に証明書を発行する制度です。

 

各自治体で条件や証明の仕様は様々ですが、パートナーシップ制度を条例としているのか、要網という内規(事務をする上でのマニュアル)としているのかで、少し印象が変わってきます。

 

区の条例としてパートナーシップ制度を取り入れてる渋谷区と、パートナーシップ宣誓制度として取り入れてる福岡市の違いを見てみましょう。

上記の通り、自治体によって制度の印象が大分違ってきますね。

パートナーシップ制度については、各自治体へ確認をしっかりしておいた方がよいかと思います。

 

では、渋谷区のパートナーシップ制度にでてきました公正証書や、今回の冒頭で触れた「合意契約書」の話をしましょう!

 

そもそも、公正証書とは、公証役場で公証人に公文書として作ってもらう証明力のある文章の事です。

 

合意契約書はあくまでも、お二人の間での契約書であるという事を踏まえつつ、合意契約書にお話しさせていただきます。

 

 

合意契約書は、お二人が愛情に基づくパートナー関係にあることをお互いに確認しあい、婚姻関係に準じた関係を作り、共同生活を送るうえでの約束事を決めておく契約です。

 

公序良俗に反することは契約内容にはできませんが、契約内容は基本的にお二人で自由に決めることができます。

 

例として

 

●日常生活における買い物などでの支払い義務は、二人で返済するものとする(家事代理権)

●パートナシップ合意契約前後の財産はどちらの所有にするか(財産の帰属)

●貞操義務(浮気をしない義務)

●協力義務・扶養義務(共同生活費用分担義務)・同居義務

●義務に違反した場合の取り決め、離別時の財産分与請求権や慰謝料請求権

 

などなど婚姻関係と同じ効果を生じさせることができます。

 

また、お二人の約束事だけではなく、同性カップルが、愛情に基づくパートナー関係にあることを、万が一の時に第三者に示すことで、自分たちの関係を証明できます。

 

パートナーシップ合意契約書を作成することで、他人に損害賠償を求めたり、他人に契約効果を強制する効力は生じませんが、例えば契約書の中に医療行為の同意権や面会をする権利を書き加えておけば、医療現場で契約書を公示することで、病院側に「自分が誰にどうして欲しい」と思っているのかを、伝えることができます。

 

パートナーが医療機関から病状や医療方針の説明を受けたり、手術の同意をしたり、面会謝絶の際もパートナーとして面会できるようになるのです。

 

 

 そしてパートナーシップ合意契約書は、公正証書で作成する事もできますし、任意後見契約書等(自分の老後のお世話をパートナーに任せる契約書)と組み合わせることにより、お二人で一緒に金融機関で住宅ローンを組んだり、生命保険に加入する事も可能です!

 

現在日本では法律上、同性間の婚姻は認められていません。

残念ですが、パートナーはそのままでは通常結婚で得られる配偶者の権利を得ることができないということです。

 

同性カップルは、何も手を打たないと法律上、家族や親族ではないため、パートナーが病気で入院したり死亡した場合であっても、多くの場合「蚊帳の外」であったり「無関係な第三者」という扱いになってしまいます。

 

また、相続についても法律上の配偶者であれば法定相続分がありますが、パートナーは法律上の配偶者ではないため相続人になれず、法定相続分はありません。

 

このような現状においてパートナーの生活を法的に守るためには、パートナーシップ合意契約と既存の法制度を複数組み合わせて活用するという発想が必要です。

 

具体的には、財産管理・療養看護等に関する委任契約や任意後見契約、相続についての遺言書、などを作成し、組み合わせることによって、婚姻関係に近い法的な効果を、パートナー同士お互いに付与することが可能になります。

 

しかし、これらの法的な書面をすべて一度に作成しようとすると手続きも大変ですし、費用もかかりますが、今回ご紹介したすべての契約や書類は、病気や認知症などにより判断能力が不十分になってしまってからでは、もはや締結、作成をすることはできません。

 

それぞれの関係性やパートナーとこの先どうすごしていきたいか、どんな選択肢があるのかを知ってるだけでも、皆様の選択できる未来が広がります。

 

弊社は福岡、東京の2拠点にて事業展開しており、随時相談を受け付けております。

福岡市が後援しているLGBTのセミナー講師も在籍しており、今後もセミナーを予定しております。ご興味のある方はお話だけでも、お気軽にご連絡くださいませ。