相続登記について
相続登記とは
相続登記とは、被相続人(=相続される人)が亡くなり、相続が発生したときに被相続人が所有していた建物や土地などの、不動産の名義変更手続きのことをいいます。
不動産以外の預貯金や国債、株式などの債券、あるいは美術品や骨董品は除きます。
では、なぜ名義変更して相続登記しておくべきなのでしょうか?
一番わかりやすい例として、土地を売却する場合を考えてみます。
土地を売却する場合、必要なのが、この土地が確かに土地を売ろうとしている人(=売主)のものであるのかを証明しなければなりません。これを証明するのが土地の登記簿謄本です。たとえ、土地を相続したのが確かであっても、所有者であることを公的に証明するには、所有権移転登記をして、相続人の名義に変更しておかなくてはなりません。
この登録変更、つまり相続登記をしてはじめて土地を売ることができます。
相続登記の期限
相続登記は、いつまでにしなければならないという決まりはありません。しかし、何年も遺産分割協議や相続登記をしないで放っておくと以下のような問題が生じて、相続登記ができなくなる可能性もでてきますので、早めに相続登記を行うことをお勧めします。
- 役所で亡くなられた方の住民票や除籍謄本(改正原戸籍)等、相続登記に必要な書類が取れなくなる。住民票は5年、戸籍は50年もしくは80年の保存期限があります。
- 相続人のうちの誰かが亡くなり、権利関係が複雑になる。
たとえば、父親が亡くなり、相続人が母親と長男・次男の三人、相続財産は自宅のみで、母親がその自宅を相続したい場合を考えます。
すぐに遺産分割協議をして、母親名義に相続登記をすれば問題ありません。 しかし、何年も遺産分割協議をしないで放っておいて、長男が結婚した後に亡くなってしまったとします。さあ大変です。長男のお嫁さんも自宅の相続権をもつことになってしまうのです。良いお嫁さんで、自宅を母親が相続できるよう遺産分割協議がスムーズにいけばいいのですが、お金を要求してくることも考えられます。 - 相続人の高齢化により、遺産分割協議を行いにくくなる。
相続人の一人が認知症等になり、判断能力が低下してしまうと、裁判所を通して相続人の代わりに成年後見人を選任してもらわなければ、遺産分割協議ができなくなります。成年後見の申し立てには数か月の時間と費用数十万がかかります。 - 相続人の一人の債権者が、法定相続による相続登記を代位登記で行ってしまい、その相続人の持分を差し押さえてしまう危険がある。
この時点で遺産分割協議を行っても、債権者に対してお金を支払わなければ、他の相続人の名義に相続登記をすることが難しくなります。
以上のように、長期間相続登記を行わないでいると、さまざまな問題が発生して、いざ本当に相続登記を行いたいときに、余分な費用と時間がかかったり、相続登記ができなくなるという危険もあります。
特に、不動産を売却したり、お金を借りるため不動産を担保に入れたりするような場合には、相続登記が必ず必要になってきますので、早めに行っておくことをお勧めします。
尚、相続税の申告は、相続開始後10か月以内に行わなければなりませんのでご注意ください。
相続登記に必要な書類
- 被相続人での出生から死亡までの除籍・原籍・戸籍謄抄本
例えば、大阪で生まれて後年東京で住んで死亡した場合には、大阪と東京の2ヶ所からこれらの書類を取り寄せます。 - 法定相続人の現在の戸籍謄抄本
法定相続人全員の戸籍が必要です。 - 相続財産を取得する人の住民票
相続財産を取得する人の人数分に応じて住民票を取り寄せます。 - 全相続人の印鑑証明書
遺産分割協議書を作成した場合に必要となります。尚、遺言書がある場合は不要です。 - 固定資産評価証明書
市町村役場で申請して取得します。
相続登記の手続き
基本的には、司法書士に依頼します。
ご自分で手続きをされたい方は、物件所在地を管轄している法務局へ
要資料
(不動産の固定資産評価証明書のほかに調査業務(登記簿チェック)の資料が必要になります。)
登記簿チェック(調査業務)
評価額を調査し、戸籍を収集します。
物や人、相続人の決定
必要書類作成
委任状や遺産分割協議書などの作成
押印
相続登記申請
共有物件の権利証の取扱
共有者のうちの1人が亡くなった場合に、その亡くなった方の持分について名義変更をすると、その持分についてのみ権利証が新しくなります。
従って、新しい権利証は、名義変更前の権利証(まだ効力有)と一緒に保存をしておきましょう。
相続登記の費用(登録免許税) ※下記の事例でご確認ください。
<例> 土地・建物(固定資産評価額 5億円)×0.4%(相続登記)= 200万円
司法書士報酬 10~30万